いぬのせなか座
座談会 について
座談会は、いぬのせなか座が、複数人による、書き直しを含みこんだ長期間の、ばらばらかつ濃密な議論を、最も効率よく行っていくために実践・試行錯誤している、テキスト作成・議論形式です。
参加者は、一定期間、ウェブサービス〈Googleドライブ〉に各々の電子端末を用いてアクセスし、いつ・どこでも、リアルタイムで、そのつどの自らが置かれた環境と接しながら、他の参加者による発言に応答し、自らの過去の発言を書き直し、過去・未来のさまざまな〈私〉と対話しつつ思考しつづけます。
方方を同時に複数人が書き足し、書き進め、書き直していくため、参加者には徐々に大きな負荷がかかっていきますが、それを、言語表現と批評の高密度なないまぜ状態の習慣化(の一方法)として、実践しています。
いぬのせなか座立ち上げ以来、グループの軸として実践して来ましたが、最近では、一般的な「座談会」の見た目から離れた、パフォーマンスや共同制作としても実践しています(「座談会6」「座談会8」など)。今後、さらなる形式上のアップデートを試みる予定です。
(2018.04.30)
座談会8 2018/02/17→2018/04/11 釘打ちされた星座の骨
『現代詩手帖』2018年5月号に掲載。鈴木一平の受賞第一作の依頼と、いぬのせなか座によるページ作成
依頼が同時にきたため、双方を組み合わせた15ページを制作した。鈴木の詩「雨と部屋」をきっかけに、
それをめぐる対話、批評、小説、詩……をメンバーが(相互に参照しあいながら)制作し、さらに
その上で鈴木が「星座のなかの暮らし」を制作、並行して山本が全ページをデザインした。
◯鈴木一平「雨と部屋」……第6回エルスール財団新人賞受賞第一作①
◯鈴木一平+笠井康平「だれかが考えたことをわたしは考え」
◯山本浩貴+h「物化するプロセス 閉鎖から滲み出る距離 遍在する家々の期待」
◯なまけ「町」/h「日付」
◯笠井康平「さかだちをするれんしゅう、これがまたむずかしいんです。」
◯山本浩貴「ぬりえをやぶく」
◯鈴木一平「星座のなかの暮らし」……第6回エルスール財団新人賞受賞第一作②
青年団リンクキュイ『前世でも来世でも君は僕のことが嫌』をめぐる対話。
「観客A」という呼称で笠井康平が参加。
◯意味の暴力による包囲
◯罪が蓄積する場としての〈私〉
◯〈私〉の外にある魂の観測と運命からの逸脱
◯問いの演劇制作への変換、役者の身体の露呈
◯舞台空間に偏在する〈理解の形式〉
◯(移?)人称と多重人格−輪廻転生モデル
◯新しいリアリズムの上演はどのようなかたちをしているのか
座談会6 私らの距離とオブジェクトを再演する
佐々木敦『新しい小説のために』刊行記念イベント(SCOOL、2017.10.29)にて上演。
事前にテキストとして行なった対話・小説制作・批評を、デザインされた配布資料とプロジェクター、
ホワイトボード、演技、etc.によって「再演」(ただし60分を6つにストップウォッチで強制的に分け、
各パートが配布資料における6つのStudioに対応するようにした)。
「わたし」という呼称で笠井康平が参加。
座談会5 2017/05/21→2017/07/02
河野聡子『地上で起きた出来事はぜんぶここからみている』に栞=小冊子として収録
◯詩(集)にとってデザイン/レイアウトとは何か?
◯「ここ」に降り注ぐ過剰なままの従属と、〈見ること〉のチューニングによる共同体
◯全体の多元化可能性 統合はどこにあり、あるいはどのように裂かれているのか?
◯全体性=《みんな》と個別の〈私が私であること〉の衝突
◯詩における物質性とパースペクティヴィズム
◯舞台−出演者−観客が形づくるヒト・モノ間の翻訳関係
座談会4 2017/02/04→2017/04/04
『座談会4』として刊行
◯「Malformed Objects―無数の異なる身体のためのブリコラージュ」をめぐって
◯リバースエンジニアリングと「習慣化された身体」
◯転用可能性と使用価値
◯指示書と新たな主観性の制作
◯他者へ自己のように従属する共同体
◯汲み尽くせなさを用いた共同制作の手立て
座談会3 2016/02/27→2016/04/27
『いぬのせなか座』2号に収録
◯異種との自由研究の可能性/不可能性
◯「テキストの手前側の思考」の散策
◯デモクラティックな日記としての写生
◯重力と俳句、新たな環境としての魂
◯ありたちによって作られる身体の外の重力
◯内面と伝達を発見するダンスカンパニーの制作
◯外在化された記憶、無数の表現主体を貫く幾種類かの同一性
◯物理的大きさと芸術の相互陥入、装飾的身体における言語
◯翻訳と写生が、いかに透視図法を組み替え、身体から遊離した化石を見つけ出すか
◯不在の環境・生きものらに向けた身体の動かし方、環境の掛け合わせとしての言語
座談会2 2015/10/17→2015/11/08
『いぬのせなか座』1号に収録
◯ぼくらの時間の尺度を、ぼくらの作業場に限ってまわりと変えてしまうのは
◯タッチと空間、読みのコンポジション 俳句が俳句であることを、見るということ
◯人間を書き換える場所、メディウムとしてのイメージ
◯「新たな距離」としてのレイアウト 詩におけるキャラクター性と法の生成
◯テクストをまねる魂 いくつもの生きものが
ともにばらばらに思考することに便利なひとつの道具をつくる、転生蜂起のための学校
◯+の思考、素材を変えた変換の成立 純粋言語へ向けた多宇宙らの営みは、
いかにして技術を伝播しあうのか
座談会1 2015/05/17→2015/05/31
ウェブサイトにて公開後、書き直しをへて『いぬのせなか座』1号に再収録
◯質的にちがう歴史のあり方
◯多宇宙の練習=小説
◯大江健三郎の技術
◯「私が私であること」を貸し与える
◯「遊び場」としての余白
◯余白の差異と共同体
◯語りと責任
◯ねこと告白、読みにおける厚みと不変項
◯ねこは貞子のように手前に身を乗り出してくるか